植物は、動かない? いいえ、実はあらゆる手を駆使して「旅」をしているんです――。熊本博物館で7月13日から、夏の特別展が始まった。テーマは「旅するタネ」。身近なものから遠く海外のものまで、様々な大きさや形のタネが個性を競う。夏休みの自由研究のヒントにいかがだろう。
展示では、タネの移動方法(散布様式)を「旅」に例え、方法ごとに紹介している。
移動に風を使うタネは多いが、乗りこなし方は様々だ。綿毛でふわふわ飛ぶガガイモ、羽根突きの羽根のような形でくるくる回りながら落ちるフタバガキ科の植物、グライダーのような羽を持つアルソミトラ。脚立に乗った担当者が実際にタネを落としてみたというスロー映像を見ると、落ちるまでの時間を少しでも多く稼ごうとするように動いているのがわかる。
ヤシの仲間や奄美大島に生えるモダマなど、海や川の近くに生える植物には、水を使って移動するものも多い。多くは、ぷかぷか浮かんで海や川の流れで遠くに運ばれるが、変わった方法をとるものも。カラスムギのタネは乾いているときにはねじれた状態になっているヒゲが、水にぬれるとまっすぐになろうとすることで、ドリルのように回転する。この機能で土にまみれることができるそうだ。
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乾燥した気候の豪州や米国な…